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スタッフインタビュー
「木造建築の仕事」

オークヴィレッジでは、ただいま、木造建築の設計、または施工管理を担当するスタッフを募集しております。 

今回は、国内の様々な働き方・生き方を紹介する求人サイト「日本仕事百貨」(運営会社:株式会社シゴトヒト)に掲載されたインタビュー記事をご紹介します。

※現在、「日本仕事百貨」での募集は終了しておりますが、コーポレートサイトにて募集を継続しております。

100年かけて育った木で
100年住める家をつくる

木でつくられた家って、なんだか安心します。

自然なあたたかさと、ほっとする香り。

身近だけど複雑で奥深い。人を惹きつける素材だと思います。

そんな国産の木材にこだわって、木造建築や家具、おもちゃなどをつくり続けているのが、オークヴィレッジ。

今回は木造建築の設計と、施工管理の担当者をそれぞれ募集します。

学生時代に建築やデザインを学んだ人、現場経験のある人など、建築にかかわる経験を持つ人を求めています。

自分が本当にいいと思えるものをつくる。

そんなものづくりができる環境が、ここにはあります。

 

新宿駅から高速バスに乗り込み6時間ほどで、岐阜県高山市に到着する。

バスを降りると、一面の銀世界。

市街地からさらに車で西へ20分ほど走ると、オークヴィレッジの入り口が見えてくる。

木々に囲まれた広大な敷地内には、シールームや木材を加工する工房、設計事務所などが点在していて、まるで小さな村のよう。

凍った道を慎重に歩いて事務所に入ると、木のやさしい香りに包まれる。

迎えてくれたのは2代目代表の上野さん。柔らかな笑顔と喋り方で、ホッとする雰囲気の方。

「ちょうど今年で創立50周年になるんですよ」

1974年に飛騨高山で創業したオークヴィレッジ。

大量生産、大量消費によって日本古来の「木の文化」が廃れていくことに危機感を抱いた若者5人が集まり、木製家具の受注販売をしたのが始まり。以降、木造建築やおもちゃなど、木を使ったさまざまなものづくりをする会社に成長していった。

創業当時から掲げているのが、「100年かかって育った木は、100年使えるものに」という理念。

「木が大きくなるのって、すごく大変なんです。風雪に耐え、長い年月を経てようやく大木になる。100年かかって育った木を伐って、10年しか使わずに捨ててしまったら資源は枯渇します。でも、100年使える家具や家がつくれたら、その間に木を育てることができる」

「木を大切に使いたいという精神が、うちのものづくりの根底にあるんです」

オークヴィレッジに1人目の設計士として入社したという上野さん。

100年住み続けられる家を建てる。そんな思いから、地震など災害に強い「木組み」と呼ばれる金具を使わない伝統的な技法を採用。さらに住み続けても飽きのこない普遍的なデザインを追求し続けている。

「木を活かした理想の建物をつくるために、うちでは木組みの技術を持った大工も社員として働いてもらっています。設計から施工、材料調達まで、一貫して自社でできる体制を続けているんですよ」

ひとつの建物を建てる場合、設計と施工はそれぞれ専門の会社が担当することが一般的。

ひとつの会社で一貫して建築を手がけるメリットってなんでしょう。そんな疑問を投げかけてみると、上野さんがある建築の写真を見せてくれた。

「たとえばこの家。玄関の敷台にクリの木を使っているんですけど、クリの木ってなかなか手に入らないし、乾かすのにも時間がかかる。加工も難しいので高い技術をもった職人が必要なんです」

「普通、この玄関をつくりたいと思っても、材料がないとか、加工するための技術を持った職人を見つけられないとかで諦めなきゃいけない。でも、うちには木材を集めて乾燥させる倉庫があるし、木の性質をしっかり理解した大工がいる」

既製品を使うことが多いキッチンも、一から設計してオリジナルのものをつくる。さらに、建物だけでなく家具もデザインして、空間をトータルコーディネートすることもできる。

「こだわって、世界にひとつしかないものをつくることができる。それがうちの仕事の醍醐味だと思います」

アイデアをかたちにするための、素材も技術もそろっている。大変さもあるけれど、ゼロからものづくりをしたい人にとっては、魅力的な環境だと思う。

上野さんは、どんな人と一緒に働きたいですか?

「特殊なスキルとかがあったほうがいいのかもしれないけれど、それはやってみないと分からないでしょう。だから、まずは木が好きで、木のものをつくってみたいと思う人。世の中に無いものを形にしてみたいっていう気持ちがあればいいんじゃないかな」

 

「うちに依頼してくれるお客さんも、木が好きでこだわりが強い方が多いんですよ」

そう教えてくれたのは、設計を担当している田中さん。新卒で入社し37年目になる大ベテラン。

「木造に対する想いが強い方や、理想の暮らし方を明確に持っているお客さんが多くて。毎回特殊なケースばかりなので面白いですよ」

たとえば、「ピアノが最高の音色を奏でるホールのある家をつくりたい」や、「所有している山の木を使って店舗を建ててほしい」など。住宅や別荘、店舗など全国からさまざまな依頼が集まってくる。

そんなお客さん一人ひとりの希望を聞きながら、間取りやデザインなど、どんな建物をつくるかを考えていくのが設計士の仕事。

「コストがかかっても、いい建物をつくりたいと思ってくださるお客さんが多い。だから僕たちも、細かいところまでこだわって仕事ができています」

田中さんが印象に残っていると話すのは、明治神宮の敷地内にある「杜のテラス」というカフェ。

「明治神宮の自然に馴染むシンプルな建物を目指しました。室内で屋根の下にいながらも、森の中にいるような感覚を味わえるデザインにしたくて」

壁一面の大きな窓と、木組の天井が印象的。テーブルや椅子は明治神宮の杜の倒木を再活用したもので、田中さんがデザインを担当した。

「たとえばこの屋根。木組みでつくっているんですけど、いかに薄くしてすっきりした見た目をつくれるかというところにこだわりました」

「こういうときは特に、現場との近さが強みになるなと感じています」

現場との近さ、ですか。

「木組の建築は、大工の技術や経験が不可欠なんです。設計士だけで考えるとデザイン重視になってしまって、実際に建てられるかの判断が難しい。一方で、大工だけだとつくりやすさや安全性を重視するから、見た目がゴツくなってしまいがちなんです」

「でも、うちの場合は設計事務所のすぐ下に大工の作業場があるので、意見交換をしながらつくっていくことができる」

オークヴィレッジでは、作業場から大工が上がってきて、意見を交わす光景が日常茶飯事。杜のカフェの天井部分も、どこまで薄くできるか、どんな木材を使うかなどを相談しながら決めていったそう。

数ミリの厚みにもこだわって、議論を重ねていく。その積み重ねが、オークヴィレッジの建築をつくっているんだろうな。

「こだわるから、仕事も多くなる。でも、考えたら考えただけいい成果が出るし、こだわりだしたらキリがない世界。だから、根底に木造とか建築が好きでたまらないっていう人が向いていると思う。そういう人にとっては、こんなに面白い仕事はないんじゃないかな」

 

昨年東京の大学を卒業し、入社して1年になる星野さんにも話を聞く。

「高山って、移住者のコミュニティが活発で。よく交流イベントとかが開かれているので、新しくこの地にくる人も溶け込みやすいと思います」

「実際、うちの社員は半分くらいが他県からの移住なんですよ」

星野さんはどうして、東京の大学からオークヴィレッジを選んだんですか。

「大学で建築を学ぶなかで、日本に昔からある伝統構法を使った建物がすごく好きになったんです」

「いろんな企業にインターンに行ったんですけど、本物の木と、伝統構法を使った家づくりをしているところはなかなかなくて。そんなときにオークヴィレッジを知って、入社を決めました」

将来的には設計士を目指しているという星野さん。まずは現場を知るためにと、施工担当に配属された。

「施工も設計も両方できる人材を育てていきたい、というのが代表の上野の考えなんです」

施工担当は設計図をもとに、大工が実際に作業するために使う施工図を描くのが仕事。さらに、現場での指示や作業日程の管理、見積もりなど、施工にまつわるすべてを監督する。

現場に頻繁に行く仕事だから、全国各地を回ることも多い。長期の出張もあるため、旅行や知らない土地にいくことが好きな人だと楽しめそう。

「最初は上司と一緒に現場を見て、更地から家が完成するところまでを全部見させてもらいました」

担当したのは岐阜県内にある果樹園のカフェ店舗の案件。お客さんが所有している森の木を伐って木材にした。

「どの木材をどこで使うかというところから関わらせてもらいました。同じ木でも、木目や節、曲がり方とかが全然違うんです。実際に木材を見ながら、年輪が詰まっていて綺麗なものは壁や天井に使って、節が多い木は見えない箇所に使う。そんなふうに木材の使い方を決めていくのがすごく面白かったです」

「あと、この物件では外の壁に焼き杉という杉の木の表面を焼いて炭にしたものを使ったんですが、それもお客さんと一緒に木を焼いて、自分たちでつくったんですよ」

すると、隣で話を聞いていた上野さんが一言。

「机に座っていても、なかなか設計のアイディアって浮かんでこない。実際に外にでて、素材に触れたり、現場を見たりする方が、いろんなイメージが浮かんでくると思うんですよね」

たしかに、建築家を目指す人にとっても、実際に木に触れたり、大工の技術を見たりする経験は、貴重な財産になるんだろうな。

星野さんはほかにも、施工現場に立ち会うだけでなく、過去に建てた物件のメンテナンスのためにたくさんの物件を見て回ったそう。

「どの物件もそれぞれ全然違うんです。いい意味で、同じことは絶対にやっていない。それに、何十年も前のものも、古さを感じないというか」

「どこを見ても、最後までこだわりきっているところがすごく好きで。友達に会ったときに、ついつい自慢したくなる建物が多いんです。自分の仕事に自信を持てるって、すごいことだなって思っています」

木が好きで、ものづくりを心から楽しんでいる。

オークヴィレッジで働くひとたちは、自分の心に素直に働いていると感じました。

まだ世の中にない建築を、日本の木でつくりたい。

そんな想いのある人は、ぜひオークヴィレッジの門を叩いてみてください。

(2024/1/10 取材 高井瞳 )

出典:100年かけて育った木で100年住める家をつくる / ものつくる届ける、つなげるデザイン、空間づくり、伝統と継承 / 日本仕事百貨