オークヴィレッジのモノがたり | OAK VILLAGE STORY

材料っておもしろい

材料っておもしろい:材料ができるまで「第四回:乾燥について」

第三回では、実際に扱っている家具クラフトをどのように製材しているかを詳しくお伝えしました。最終回となります今回は、木材を「乾燥」させるという工程についてお話しします。

春になると、ドッサリあった雪も消え、身も心も緩んできます。冬から乾燥させている材も、4〜5月の乾燥したポカポカと気持ち良い気候の中で、水分をグングンと蒸発させ、光り輝いています。洗濯物も乾きにくい冬の間にゆっくりと乾燥させた材は、天然乾燥の第二段階に入ります。

木材乾燥で材に与えられる要素は、「温度」、「湿度」、「風速」。加えて特徴的なのは、「圧締」(※1)と「アク抜き作業」です。天然乾燥は、自然の気候の恵みを利用して、それらの要素を材に与える乾燥法です。人工乾燥は、動力や熱源を使い、初期乾燥の補助をしたり、天然乾燥では抜け切らない水分を強制的に乾燥させる技術です。

木材乾燥は、この2つの乾燥法を駆使して品質を安定させながら、最終的には含水率(※2)を8%前後にすることを目的としています。そこまでして低い含水率を目指すのは、エアコンや空調設備による過乾燥な空間に置かれた材に、縮みなどの不具合が出るのを最小限に抑えるためです。木が持つ本来の艶を活かすのならば天然乾燥でとどめるのがよいのです。

丸太を板にする
材の端まで桟木を寄せることで、
ねじれや割れを防ぐためのより有効な圧締ができます。

丸太を板にする
大径木を「姿挽き」した時の桟積み方法。



天然乾燥

天然乾燥で大事な作業は、桟積みです。桟木を使って材と材の間に乾燥に必要な隙間をつくり同時に積み重ねることで、「圧締」を行い、ねじれや割れを防止しています。厚みの揃った桟木を上から下まで水平を保ちながら積み上げ、含水率を15%前後まで下げるのが目的です。桟積みをする際は、材の色味をきれいにムラなく仕上げることに気を遣います。桟木の当たる部分は水分が抜けにくいため変色しやすく、木地色の淡いものは、桟木跡がつきやすいのです。桟木位置を変えたり、表面がある程度乾くまで立てかけてから桟積みするなどして対応します。

“桐材は、屋根上でアクを抜きながら雨ざらしで乾燥させる”、“秋田スギなどアクの強い材は、水に漬け込んでアクを抜いてから寒晒しする”と聞いたことがあります。実際に私も、立てかけてあった赤身の部分の色が濃いスギ板が、雪に晒されて薄くきれいな色になるのを見て、寒晒しに納得した覚えがあります。飛騨地域や梅雨のない北海道は、広葉樹の良材に恵まれた昔からの材料産地です。豪雪地帯で夏は涼しく、湿度も適度にある気候は、天然乾燥するにもとても適していると感じます。

材料ができるまで:第三回「製材について」
不思議なことに、木口より入りやすい割れも、桟木のところで割れが止まっているのをよく見かけます。圧締が効いているのでしょう。

材料ができるまで:第三回「製材について」
いつも乾燥を依頼している業者さんの蒸気加熱式乾燥室。5号機まであり、材の状況により、細かに対応してくださいます。



人工乾燥

人工乾燥の目的は、天然乾燥で抜け切らない結合水と呼ばれる細胞に付随する水分を強制的に抜き、含水率を8%以下にすることで、材の伸び縮みを最小限に抑えることです。そして、材に「内部応力」を残さないようにします。この「内部応力」というのが乾燥の際に生まれる「乾燥応力」(※3)というもので、それを残さないようにするのが、難しいと言われています。

人工乾燥の設備は乾かす材種・厚みにより様々で、「蒸気加熱式」、「燻煙式」、「減圧高周波乾燥」、「除湿式乾燥」、「太陽熱利用乾燥」、「熱板乾燥」、「赤外線乾燥」などがありますす。それぞれ、材の中の水分をどうやって加熱し蒸散させるかという仕様が工夫されており、運転コストを含め、乾燥させたい材の形状や生産工程にあわせて設備を選びます。

家具クラフトで扱う比較的比重の重い材料に適しているのは「蒸気加熱式」。比重の重い材料は、重さに比例して水抜けが悪くなります。材の中の水分移動が悪くなると表面ばかりが乾いて割れが発生しますが、「蒸気加熱式」であれば、蒸気で表面の収縮や硬化を防ぎながら、材内部の水分を引っ張り出して蒸散させることができるので、とても理に適っているのです。

樹種や厚み、材料の乾き具合により乾燥スケジュール(温度・湿度・風量の与え方)が違うので、天然乾燥で含水率を15%まで下げた同程度の厚みの材を同じタイミングで乾燥室に入れるのが理想です。

(※1)材に均一な圧力を加えて密着させること。
(※2)材料に含まれる水分の割合を示したもの。
(※3)材の内部が乾き過ぎている状態。この材を厚み半分に割るとお椀状に反ります。これは加工上扱いづらい材料で、いわゆる「動く材」と言ったりします。

これまで全四回でご紹介しましたとおり、材料づくりは、私たちの無垢材にこだわったモノづくりへの想いから始まり、それに叶う材を「集材」し、丸太の持っているクセに逆らわず「製材」し、時期を選んで「乾燥」させるという一連の流れと一つひとつ向き合って行っています。

しかしながら昨今、天然乾燥に時間を割けず、材料に負担をかける場面が少なくありません。木にとっても厳しい時代ですが、木のひたむきさに習って、これからも一つひとつ答えを見つけられるように向き合ってゆこうと思います。

材料担当:西崎 英二

 

材料ができるまで

丸いものを四角にする

第一回
「丸いものを四角にする」

材料ってどこからくるの

第二回
「材料ってどこからくるの」

製材について

第三回
「製材について」

乾燥について

第四回
「乾燥について」

 
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