オークヴィレッジのモノがたり | OAK VILLAGE STORY

材料っておもしろい

材料ができるまで:第一回「丸いものを四角にする」」

ナラ・トチ・サクラ・カバ・ホオ・カエデ・クリ・キハダ…、今年の冬も様々な樹種を製材しました。「丸いもの(原木)を四角(板や角物)にする」。製材を簡単に表現するとそうなのですが、樹齢・大きさ・長さ・質などなど…、同じ樹種でも育った環境によって違いがある木を、1本1本見極めて行う製材は、丸太の価値を目いっぱい引き出し、材料の価値を創り出す重要な工程です。今回は、丸太が家具やクラフトに加工できる状態になるまでの流れを全4回でご紹介いたします。材料ができるまでの大まかな流れは、次の通りです。@集材(晩秋〜冬)→A製材(冬〜)→B天然乾燥(冬〜春〜夏〜秋)→人工乾燥(適宜)。この晩秋からはじまる一連の流れは、それぞれの材料に応じ時期を逃さないように行う生もの相手の仕事。順に見ていきましょう。

「集材」丸太を集める

木材の旬は、晩秋から冬。木が葉を落とし、土から水分と養分を吸い上げることを止め越冬に備える頃です。なぜこの時期が木材の旬なのか。それは、この時期の木は、木の中に含まれる水分量や養分が少なく、製材後の乾燥の工程で水抜けがよい(乾燥が速く進む)、後から虫が入りにくい、乾燥後の木地色がよいなどの理由があるからです。制作の現場では、来たるべき晩秋に向け夏頃から集材の準備を始めます。基本的に丸太は、原木を扱う集材屋さんから購入しますので、カタチにしたい家具やクラフトに合った原木について径や長さを検討し、前もって集材屋さんに伝え、より希望に近い原木を集めてもらいます。

「製材」丸太を板にする

こうして集めた丸太は、早く製材するに越したことはありません。特に「白物」と呼ばれるカバ、カエデ、トチ、シナ、などの木地色の淡い木は、まだまだ寒い冬の早い時期に製材します。それは、冷たい気温の中で表面を乾かすことでカビ菌が繁殖しにくくなるからです。同じく早く製材したいのが、水の抜けにくいナラの厚い板です。乾燥が激しい4〜5月の空気に急にさらすと、表面割れを起こしやすいからです。そうは言っても、一度にたくさん製材できるわけではないので、土場の丸太に散水することで傷みにくい状態をつくって時期を調整したり、割れやすい板には、割れ止め塗料を塗ったり、原木や板が生きるように様々な工夫をしています。

その中で、ケヤキは特例です。ケヤキは、白太(※1)が腐るまで放っておいても、赤太(※2)が傷まない特殊な木です。白太が元気なうちに製材してしまうと、乾燥の段階で白太が動き、割れ、反りなど、赤太にまで影響してしまいます。私たちがよく言う「白太がひっぱる」ことになりますので、故意に製材を後に回したりします(それほどケヤキは赤太が腐らない強い木なのです)。製材は、丸太を“どのように”製材するかと同時に、“いつ”製材するかがとても大切です。

丸太を板にする
(※1)白太・・・木材の樹皮に近い部分
(※2)赤身・・・木材の芯に近く、色の濃い部分。心材とも言う。

丸太を板にする
時期により、割れやすい板目には割れ止め塗料を塗ります。
割れませんように、と思いますが、割れてほしくないものほど
割れるような気がするので遠目で祈ります。

「乾燥」材料を乾燥させる

以上のように、製材と乾燥は密接に結びついています。水抜けのよい木は製材後から乾燥までの工程が速く進みますし、乾燥に時間がかかる木は、板のクセや割れを抑えながらじっくりと寝かす必要があります。

ある程度の厚みのある材料は、冬の気温の低い中で静かに少しずつ乾燥させ、春カラッとした空気で表面の水分を取り除き、梅雨時期から夏にかけ、木の中の水分をひっぱり出し、秋冬にまたじっくりと乾燥させます。カビや虫に気を付けながら、そういった四季の繰り返しを木に与える天然乾燥はとても大切な工程で、ここをしっかり踏んでおけば、その後の人工乾燥でも暴れが少なく、さらには材料に落ち着きも与えているような気がします。

材料を乾燥させる
天然乾燥中のナラ。桟木が一直線に上から下まで通っていることが重要。直射日光を防ぎ、木口の割れが進まないよう網かけをしたりします。

「昔の人は賢い。」
材料を扱う現場でもよく耳にする言葉です。

材料ができるまでの一連の流れにある木を活かすための要所要所の工夫は、先人の長い時間と多くの失敗から生まれたものでしょう。ご紹介しきれていませんが、今回の記事も、ほとんどが材料を扱う先輩方を見習い、教わったことばかりです。伝統的な木の用い方以外に「他の用途でもこの木を使えるんじゃないかな」と挑戦してみることがありますが、失敗も多く、やはり昔の人はちゃんと適材適所に材を選んでいると感じます。

オークヴィレッジの主材であるナラに関しても、明治に入り、機械などの動力が強くなったことによって山から盛んに伐り出されるようになった材ですが、堅くねばりがあり、製材するにも、乾燥させるにも、昔は相当の苦労あったと、実際に原木を扱ってみて感じます。

「丸いものを四角にするんやで、そうは板を取れんのなぁ。芯もあることやし。」
原木を目いっぱい活かしたいものの力及ばず、丸太からほしい材が思うように取れないで、頭を抱えることもあります。それは、適材適所ができていない時です。反対に、原木集めから製材、乾燥とタイミングよく進み、素材の魅力が家具やクラフトに無駄なく活かされた時はホッとします。

近年、世の中の流れがさらに速くなり、時を紡いで育つ木を大切に思い扱うことの難しさを感じます。先人の思いを少しでも受け継ぎ、伝えていこうと思っています。

材料ができるまで:第一回「丸いものを四角にする」

材料担当:西崎 英二

 

材料ができるまで

丸いものを四角にする

第一回
「丸いものを四角にする」

材料ってどこからくるの

第二回
「材料ってどこからくるの」

製材について

第三回
「製材について」

乾燥について

第四回
「乾燥について」

 
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