オークヴィレッジのモノがたり | OAK VILLAGE STORY

職人の目線

職人の目線第二回:抽斗から思うこと

設計をする際、お客様のご要望で抽斗に取付ける「スライドレール金物」を選定することがあるのですが、用途やそれぞれのレールの長・短所などで、どのレールを使うかよく悩みます。しかし、「本当に必要なのだろうか」と思うこともしばしば。食器などの重いものを入れる用途であれば、レールも必要かと思いますが、衣類など軽いものであれば、「大きな抽斗だから」という理由でレールを取付けるのもいかがなものかと思います。

レールを使うことによってデメリットもない訳ではありません。レールを使えば多少なりとも内寸が犠牲になるのもその一つですが、それよりも100年使える家具を売っている以上、この金物が壊れるであろう何10年後かに同等品が手に入るのだろうかと考えると複雑な思いです。

下の写真は工房にある抽斗で、職人が休憩時に使うカップが入っています。「金物を使わずにスムーズに動かせないか」と考えた職人のちょっとした知恵が入っていて、幅80cm、中身は結構重いのに片手で引出せます。これなら100年後に壊れても、元に戻せる自信があります。

“100年使える木の家具”とは、材料や構造が100年耐えられるということより、何年後であっても、造った人でなくても修理ができるという意味の方が大きいと思います(その時に修理する価値が残っているかという要素も重要ですが)。

修理が必要になった際、万が一造り手の元に戻らなかったとしても、別の誰かが修理し、使い続けてもらえる作品、その中にある私達の技術や工夫に感心してもらえるようなものを残せるように日々精進です。

制作部:春田 健次

職人の目線第二回:抽斗から思うこと
レール金物を使わずとも、工夫によってスムーズに動かせます。
職人の目線第二回:抽斗から思うこと
レール金物を使った抽斗。

制作部:春田 健次

制作部:春田 健次

設計担当長で家具手加工一級技能士。
根っからの理系で、その類の疑問にはほぼ即答してくれるし、
仕事のスピードも凡人の3倍速でこなすため、
厄介な問題は全て彼のもとに集中するという運命にある。
少々そそっかしいのが玉にキズであったが、どうやら最近克服したらしい。

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